赤や白の小さく多数連なった実が美しい「南天」。
日本ではナンテンが「難転」~難を転じて福となす~に通じることから、 縁起木として愛されてきました。
特に表鬼門(北東の方角)には赤南天、
裏鬼門(南西の方角)には白南天が尚良しとされています。
また、昔の家のお手洗いは家の外にあるのが普通で、
そのお手洗いの周りには必ずといっていいほど南天の木が植えられていました。
これは「南天手水」と称して、お手洗いに水がないとき、南天の葉で手を清めるためです。
もう一つの理由は、お年寄りがお手洗いで転んだり、倒れたりすることが多かったため、
「南天の木につかまる」(難を転ずる)ことが目的でした。
つまり、「不浄よけ」と「生活の知恵」の両方が備わっていたのです。
江戸時代になると、南天はますます縁起木として尊ばれるようになります。
江戸の百科事典『和漢三才図会』には、「南天を庭に植えれば火災を避けられる。とても効き目がある」という記述があります。
江戸時代にはどこの家にも南天が「火災よけ」として植えられるようになり、
さらには「悪魔よけ」として玄関前にも植えられるようになりました。
こうした習俗は今も日本の各地に残っています。
こちらのお家は、玄関前のインターフォンの植え込みに南天を。
ちょっとしたシンボルツリーにもなり、良くまとまっていますね。
実は弊社の入り口には、「柊南天」が植えられています。
ヒイラギも、鋭いとげで鬼を追い払う縁起の良い庭木とされているようです。
私達が毎日、こうやって元気に働くことができるのも、
ひょっとしたらこの柊南天のお陰かもしれません。