タケワキ住宅建設の災害対応について
――昨年の千葉県の台風の際、タケワキ住宅建設としてはどのような対応をされたのでしょうか?
弊社としては、自分たちと関わりの深い方々の中にも被害に遭われた方がいらしたので、その対応を優先的に行なっていました。昨年の台風では弊社のある東葛地域というところでは被害が少なかったので、そちらの方は比較的早く終わりました。屋根が外部の修理が必要な住まい手の家も2〜30軒くらいありましたが、全体で見ると少なかった方だと思います。修理が必要な家には優先的に業者を手配したり、大工さんに行ってもらって迅速に対応していきました。当時新築を建てたばかりのお客様や、工事中の住宅もあったのですが、こちらの方は被害がほとんどありませんでした。
――そうだったのですね。
ただ、例えば首都直下型の地震がきて、我々の地域にも大きな被害が出てしまっていたら、状況は一変していたと思います。動ける人達でどう対応していくのかを考えなくてはいけません。
例えば会社の中でLINEグループを作って、何かあった時に連絡を取り合うとか、私が判断して動ける人に動いてもらうなどということは考えています。会社の代表である私の立場としては、当然会社のことが最優先ですが、全木協千葉県協会の代表を務めていることもあり、千葉県の工務店業界としての動きも考える必要があります。自社への指示をしつつ、同時に視野を広げて対応しなくてはいけない。さらに言うと、JBN(全国工務店協会=地域工務店と関連業者さん約3000社が集まった工務店の団体)の役職も務めている為、そちらの活動もあります。*熊本へ行ったのはそのJBNの仕事でした。
※前記事参照
――さまざまな役職や立場があると、状況ごとの判断も難しいでしょうね。
自社を最優先に考えなくてはいけないのはもちろんですが、自分が置かれている3つの立場において、どう並行してやっていくのかというのは常々考えているところですね。もちろん自分一人では全てをこなすことはできないので、仲間達にどう動いてもらうかということを考えています。
その中で自社としては、どれだけ普段から準備ができるか。例えば物質的なところで、簡易トイレを3日分くらい用意しておくとか、ソフト面で横の連絡をどう取り合うか決めておく等。あとは災害があった際にすぐに駆けつけられるように、緊急通行車両に登録しておくなどですね。災害が起きてから全ての準備をしていては遅いので、段階的に少しずつ準備を進めています。
代表の災害に対する意識について
――竹脇社長の災害への意識の高さが伺えますが、そういった意識というのは他の各業者様も持たれているところなのでしょうか?
それは各会社の社長さんの考え方ひとつでしょうね。大きな災害にあったことが無い方にとってはなかなか想像がつきません。災害に対する意識もそうですが、例えば災害の際の木造仮設住宅の耐震性や断熱性をとっても、そこまでこだわらない方も多いです。
職人さん向けに断熱材を入れる講習会を行っても全然分かっていない職人さんもいて、普段から気にしていないことが分かります。また耐震についても、「耐震等級とは何か」ということがちゃんと説明できる人は少なかったりします。
実は今年の4月から、断熱に対する省エネ基準が義務化される予定でした。しかし断熱についての知識や技術が伴っていない工務店や大工さんがあまりにも多いという背景から、延期になってしまいました。推進していく立場としては、非常に残念なことですね。本来やらなければいけないことと現実とのギャップがまだまだ大きいなと感じています。
――昨年の台風では、タケワキ住宅建設の周辺地域では被害が大きくなかったとのことですが、県内の別の地域で起きた災害についての当時の所感などをお聞かせください。
災害が起きた時にすぐには全容が掴めません。※今起きている水害にしても、1週間経っても全容はつかめていません。まずはどのくらいの被害があるのかという想定をしなくてはなりません。そしてその想定に対して今自分ができることは何か、と考えなくてはいけないのでまずは情報を集めました。例えば被害が起きた地域の工務店に連絡を取って被害の状況を確認したり、情報が集まってきているであろう関係各所に確認してみたりですね。しかしすぐには情報は集まってこないので、逐一情報を集めていきました。正しい情報をいかに早く集めるかということが、全体をまとめる立場としては大事なポイントです。あとは経験をもとにやれることや、やるべきことを見極めて、指示を出していくということですね。
とはいえ弊社の周辺地域では被害が少なかったことから、当然通常通りの仕事があります。普段通りの日常がありつつ、被害の状況も確認しつつという感じでしたね。
そのようなこともあったので、この度の災害でも起きた直後からすぐに連絡して確認しました。やはりまだ全容はわかってきませんが、日々更新されていく情報を逐一キャッチしていくことが大事です。あとは、どうしても実際に行ってみてはじめて分かることというのがたくさんあるので、足を運ぶことができると格段に状況は掴みやすいですね。
※2020/7/13当時
――災害が起きた当初はそのように情報を集めながら普段通りのお仕事も滞りなく進めておられるかと思いますが、いざ災害対応に動き出すとなった時には、通常のお仕事を削らざるを得ないような状況になってしまうのでしょうか。
それは被害の規模にもよります。先ほどお話ししたように昨年の場合は自社の周辺地域で被害が少なかったため、通常の仕事も続けることができましたが、もし我々の地域を直撃していたら当然普段通りの仕事はできないですよね。首都直下型地震などがもし起きてしまったら、通常の仕事は全て暫く中断することになります。それはお客様にもきちんと説明すればご理解をいただけると思っています
その際は正しい情報と素早い判断が問われるわけですね。普段からそういったことを意識して準備をしているかどうかは、いざ災害が起きた際に顕著に表れると思います。
――昨年の災害を受けて、会社全体の動きや考え方として変わったことなどはございますか?
今回大きく変わったということは、実はあまりないかもしれません。ブルーシートなどの物資の準備や横の連絡体制など、考えられることは常にやっていて、アップグレードしています。弊社の大工さんも月に1回全員が会社に集まるので、その時にしっかり共有すべきことを共有するようにはしています。
――今後の災害に備えて、どういった動きをしていきたいでしょうか。
これまでにお話ししたことが全てですが、強いて挙げるのであれば私が抱いているような意識をみんなに共有してもらいたいというところですね。そのために、普段からなるべく災害に目を向けた話もするようにしています。私の行動が大工さんたちにも伝わって、会社としてすべき動きを私が指示を出さなくても全員が自然にできるような状態になることが理想です。それは社内に限らず、全木協にしてもそうです。とはいえ徐々にそのような形ができつつあるので、その範囲がもっと広がっていけばいいなと思います。実際に任せられる範囲が広がれば、その分私が動くことのできる範囲もどんどん広げていくことができますので。今後は我々全体でできる対応の幅を広げるためにも、伝えるべきことをしっかり伝えていきたいですね。
【代表インタビュー③】千葉県の台風被害と建築業者の動きについて<前編>はこちら
【代表インタビュー③】千葉県の台風被害と建築業者の動きについて<後編>はこちら