木の家には、そこにしかない心地よさやあたたかみがあります。そのような「木」特有のよさに魅力を感じ、木の家の注文を考えられている方も多いのではないでしょうか。
注文住宅においてはデザインや間取りなどさまざまな検討要素がありますが、木の家を建てるからこそ、その具体的な良さや特徴を知った上でじっくりと考えていきたいですよね。
今回の記事ではそんな「木の家を建てる」ことをお考えの方へ弊社代表の竹脇の思いをお伝えすべく、インタビュー形式でお届けいたします。
木の家を建てるメリットについて
――木の家を建てるメリットについて教えてください
家を建てる上で大事なことというのはさまざまにありますが、まず何よりも「居心地が良いこと」「安心して心地よく暮らせること」ということが重要だと私は思っています。
その点において木の家というのは非常に適しています。人間はこれまで長い間、自然の中で暮らしてきたので、今あるようなコンクリートや鉄骨という自然の素材ではないものの中で暮らしていることは、人間の体に対してはやや不自然なことなんです。建築素材というのはこの数十年で非常に早く進歩していて、人の感覚がそれに追いついていない部分があると思います。そのような中で自然の素材を家の建材として使うことによって、自然環境に近い状態で暮らしていくことの方が、人間にとって心地よい。これは当たり前のことなんですね。おそらく脳波などを実際に測ってみても数値として出てくるとは思いますが、それよりも実際に感じる感覚的な心地よさが優れているという点が、木の家のメリットだと思います。
――「あたたかみがある」「優しい雰囲気」などという感覚は、実際に木の家のイメージとして皆さん持たれているようですね。
そうですね。例えば森林浴などもそうですけど、「木を見ているだけでも落ち着く」というのは、やはり人間が元々自然の中に生きていたことの表れだと思います。
――耐久性や温度など、住環境としての特徴などはありますか?
もちろん耐震とか断熱、バリアフリーなどは、人が住む場所としては非常に重要な要素ですね。
例えば断熱に関して言うと、「ただ木の家を建てれば暖かい」と言うわけではないんですね。木の家で断熱性を確保するためには、断熱材でしっかり箱状に囲ってあげることが必要です。そのあたりの施工までしっかりしなくては、せっかく木の家に住んでも、昔の家のように寒い家になってしまいます。
耐久性という点に関しても、例えば外壁の外側にある通気層のような湿気を逃がす仕組みを作ったり、地震に備えた耐震性を備えたり。木の家はちゃんとつくれば、100年でも200年でも保つんですね。それにはもちろんお手入れも必要ですが、まずは基本性能をしっかりと作っておくというところが非常に大事だと思います。
使用している木材の種類について
――住宅に使用している木材の種類について教えてください
構造材と呼ばれる、いわゆる土台や柱、梁、床、天井や、あるいは中に入っている下地材もそうなのですが、それらに使用するのは主にスギですね。あとはヒノキ、マツなど、総じて針葉樹と呼ばれるものが比較的多いです。
あとは家具や床などで堅い木を使いたいという場合には、広葉樹ですね。ナラやサクラなどの広葉樹系の物を使うこともあります。
――木材の産地についてのこだわりはありますか?
全て国産で、というわけにはいかないのですが、できるだけ国産材を使うようにしています。主には国産材の中でも、ここ10〜15年くらいは地元の千葉県産材を使ったりとか、あとは奈良の吉野という非常に良い木が揃っている土地のものを使ったりもしています。また関東近郊でも、東京の奥多摩の方の木ですとか、埼玉の飯能、また茨城や栃木の方などの木を使うこともあります。
それは中の仕上げの材料、例えば天井や床、中の下地材など、箇所によってさまざまですね。コスト面や見た目、性能、色などを総合的に加味しながら、適材適所で使っています。
――あらゆる土地の木材の中からより良いものを選んで使っているということですね。
そうですね。本当は、できれば近くの山の木を使うというのが理想ではありますが、地元の千葉の木だけで全ての家を建てられるかというと、なかなか難しいところもあります。そのため、遠方からでも良い木材があれば住宅に使っています。
木の家づくりや素材へのこだわり
――タケワキ住宅建設の木の家づくりや素材へのこだわりを教えてください
「木の家」なので、もちろん木を使うのは当たり前なのですが、それを隠してしまうのではなく、“見せる”ということにはこだわっています。例えば弊社の事務所の梁や天井もそうなのですが、構造材となっている木を見せるという作り方です。
昔の家というのは、当たり前のように木を露わしにして使うということがされていました。ただしこれをするにはけっこうな手間暇や技術が必要なのですが、それをするのが弊社のこだわりの一つです。なんでもかんでも木を露わしにするというわけではありませんが、箇所によってできるところは木を見せた方が心地よいということもあるので、その点にはこだわっています。
――技術力があってこそ為せる技法なのですね。
そうですね。特に梁などに関しては、「見せるためにはどうしたらよいのか」と逆算して考えることが必要で、それによって大工さんの工程や手間も変わってきます。隠してしまうのであれば比較的手間も省けるのですが、見せる場合には普段やらないような工程を手間暇かけて行っています。構造が見える状態になっているというのは、一つの安心感にもつながりますので、そういった意味でしっかりやっているという部分もありますね。
――お客様からも実際にそのような要望は多いですか?
おそらくこういった家づくりをしている会社というのが、日本全体で見ると少ないんですね。みなさんの周りでも、構造の部分が露わしになっている家は決して多くはないかと思います。それが分かりやすいのが、家を建てると最後に「完了検査」といって、ちゃんと設計通りに出来ているかどうかの審査があるのですが、いらっしゃる設計士の人がいつも「こんな家見たことがないです」と珍しがるんです。毎日毎日検査をしている人たちからしても、我々がやっている家づくりが決して当たり前ではないということなんですね。ということは一般の人たちも、なかなかこういう家に出会うことがないため、たまたまどこかで弊社のことを見つけられて、木を見せる設計に興味を持っていただけることが多いです。
弊社としては、「こういった家づくりが売りですよ」というよりも「私はこういう家づくりがしたい」「自分が住むならこういう家がいい」と思って家づくりをしているので、それに対して共感してくれる人が依頼をしてくださるという流れになっています。
木の家を建てることを検討している人へ
――木の家を建てることを検討している人へ、知っておくべきことや注意点などがあれば教えてください
一言で「木の家」と言っても、木で造っているけど全部木が隠れてしまっていたり、職人さんの技術面で少しおざなりになってしまっていたりという場合もあるんですね。その辺りを見極めるというのは、一般の方にはなかなか難しいことなんです。
その見極め方として、一つは「会社で大工さんを抱えているか」という点があります。決まった大工さんを何十年も抱えている会社というのは、確かな技術があると見ることができます。反対に仕事があるときだけ大工さんを呼んでいるような会社であると、技術力もその都度変わってきてしまう可能性があるわけです。
もう一点、自然素材である木の家なので、その後全く変化がないわけではありません。割れないとか、梳かないとか、ヒビが入らないということはないんです。人間が歳をとるごとに変わっていくように、経年変化で色が変わってきたりだとか、あるいはこういった露わしの木であれば割れや隙間が入ってきたりだとか。そういうことも当然起きてくるので、そこを理解して依頼していただくということが大事かなと思います。もちろん、見た目として割れや隙間が入ってきたとしても性能上は全く問題がないので、それ以上に木を使うことのメリットの方がはるかに大きいということを私は思っています。
――その他に、木の家を建てる際のスケジュール感についても教えてください。
スケジュール感について簡潔に言うと、土地を買われて弊社にご依頼を頂いてから、
打ち合わせ、設計、工事と進んで、実際に引越しができるようになるまでで、だいたい10ヶ月〜1年くらいが平均になっています。そのうち半分ほどは、打ち合わせや設計の期間になり、半分が工事期間になるようなイメージですね。
タケワキ住宅建設の木の家づくりの強み
――タケワキ住宅建設の木の家づくりの強みを教えてください
まず一番大きいのは、自社で大工さんを長く抱えていることです。弊社の大工さんは、昔からある本来の日本の家づくりの技術をちゃんと継承して、それぞれがちゃんと持っているんですね。そのような技術を持っているということは、極端に言えばどんな木の家でもつくることができてしまうんです。
反対にそういった技術がなく、機械だけでパタパタと建ててしまう大工さんも世の中にはたくさんいらっしゃいますが、弊社の大工さんは大きく違っています。伝統工法と言われる、いわゆる木組みの家というのは、昔から受け継がれている確かな技術や経験がないとできないんですね。弊社では伝統工法の家を手がけ続けることで、技術を長く伝承していくことができているんです。
そういった技術は、リフォームやリノベーションにも活きてきます。木の家がある以上、定期的なメンテナンスの必要性も必ず出てくるので、その時に大工さんの技術があるかないかで、仕上がりの質や出来ることがけっこう変わってくるんですね。木の素材を活かした、長く住むことができる家づくりをするためには、大工さんの技術がないと始まりません。
弊社には確かな技術を持った大工さんが10人ほどいますが、長年やってもらっている熟年の大工さんがいるということが、弊社の家づくりの強みです。