今回は代表インタビューという形で、リフォーム費用についてのお話をお届けいたします。
リフォームにおける、お客様のご予算とご要望との兼ね合い
――お客様の中で、リフォーム費用についてのお悩みをお持ちの方は多いですか?
基本的に多くのお客様は「リフォームをしよう」と決めてからご相談にいらっしゃるので、お悩みを抱えた状態の方は少ないです。お問い合わせを頂いた段階でリフォームをするご決断はされているので、そこからお見積もりをして予算を見た上で、どこまでやるかを考えるケースの方が多いですね。
ただおおよその金額は分かるので、それをご検討の段階でお伝えすることができれば、お悩みも解消できるのではないかとは思います。例えばメンテナンスという目的の、外装全面塗り替えなどの主に外装のリフォームであれば、おおよそ100〜200万円くらいの間でみなさんされているというイメージですね。
ご希望のリフォームのイメージを最初に全体をお聞きできれば、見積もりをして、予算内で「じゃあここまでやりましょう」とか、「ここもついでにやりましょう」といった話へ進んでいきます。
――どちらかというと、あらかじめお客様が想定しているリフォーム要件や予算をもとに内容を決めていくような流れなのですね。
そうですね、そのような形が多いです。
多くの方はネットや新聞、折込チラシなどからおおよその費用は把握した状態でいらっしゃいます。とはいえ、そういった情報は最低価格であることが多いので、そこから多かれ少なかれプラスになるとは思っておいたほうがいいです。
極端に安い場合は、そのぶんリフォームの品質が落ちてしまう可能性もあるので注意が必要ですね。やはりある程度の費用をかけてこそ、後で後悔しないリフォームができると思います。
――リフォームの種類によってそれぞれ相場があるかと思いますが、そもそもリフォームにはどのような種類があるのでしょうか。
リフォームの種類には大きく分けて3つ、外装のリフォーム・水まわりのリフォーム・性能向上リフォームがあります。
外装のリフォームは、いわゆるメンテナンス的なリフォームですね。築年数が経過した住宅の外壁や屋根の塗り替え・葺き替えなどの工事です。
水まわりのリフォームとして多いのは、お風呂とキッチンですね。水まわりはどうしても設備的な部分なので、15〜20年ほどで交換の必要が出てくるケースが多いです。
そしてもう一つが、「性能向上リフォーム」というものです。例えば「家の中が寒いから暖かくしたい」という場合に行う内側にもう1枚サッシを入れたり、断熱材を追加する断熱リフォームや、建物の耐震強度を高める耐震リフォームなどは一般的ですね。あとは、段差をなくしたり入口の開口幅を広げたりといった、バリアフリーリフォーム。これらの断熱・耐震・バリアフリーの3つを総じて性能向上リフォームと呼んでいます。
――それぞれ費用面はどのようなイメージですか?
外装のリフォームでいうと、おおよそ100〜200万円くらいが多いですね。もちろん「外装を全て撤去してやり直すのか」などさまざまな条件によって違いはあります。
水まわりのリフォームに関しては、どこまでやるのかで変わってきますね。例えばトイレの交換だけであれば数十万円でできるかと思いますが、お風呂やキッチンなどまで全てまとめて一度にリフォームするとなると、目安として最低でも200〜300万円ほどは必要になります。またおまかせではなくショールームなどで製品を決めてきた方の場合、もちろん良いものを選べばもっと予算が必要になるケースもあります。
――製品を決めて来られる方も多いのですか?
そういった方も一定数いらっしゃいます。ショールームに行って製品を見てきて、それでもう「工事お願いします」という場合です。
結局は「リフォームのきっかけが何か」という違いかと思います。単純に「壊れてしまったから」という人もいれば、CMやチラシなどを見て「そろそろウチもやろうか」ということでショールームを見に行かれて「これでやりたい」という人もいます。
それ以外にも、例えば「水栓だけ壊れてしまったので交換したら、全部交換したくなった」といった流れでやる方もいらっしゃいます。さらには、築30年近く経過しているお宅などでは、外装も中の水まわりも全てまとめてリフォームしてしまう方もいらっしゃいますね。そうなると総額で1000万円近くかかってしまうこともあるのですが、「退職をして家で生活する時間が多くなってくるというこの機会に」といった理由で決断されるようです。
――お客様それぞれのご希望によって、リフォームの内容も大きく変わってくるのですね。
リフォームにおけるタケワキ住宅建設の特徴
――タケワキ住宅建設の強みとして職人の方々の「技術力」があるかと思いますが、そういった点で他の業者さまと比べて費用面での違いはあるのでしょうか?
既製品のみを使って単純に交換するだけであれば、当然リフォーム費用も抑えられます。弊社で行うリフォームでも、お風呂やトイレ、キッチン自体は既製品を使うことが多いのですが、ご希望に応じては造り付けで、家具や洗面台、キッチンも一緒に造作でリフォームすることもできます。弊社ならではの家具工事をオプションとして、水まわりのリフォームとセットで行うことが可能です。
そういったオプションも、リフォームをされる方がどのような暮らしをしたいのかによって付けるべきか否かが変わってきますので、出来るだけ細かく伺うようにしています。
――そういったお客様の要望をヒアリングしながら決めていく形なんですね。
そうですね。弊社のホームページに「5つの聞く」という項目がある(タケワキ5つの「聴く」)のですが、大切なのはまずご自宅の「どこをどうしたいのか」ということをうかがう、それから「こういうのはどうでしょうか」と提案する力ですね。その点は他のリフォーム業者様と差異化できている点かと思っています。
もう一点、弊社では自社の大工さんがリフォーム工事にあたるため、ただメーカーの人が来てリフォーム箇所だけを交換して終わりではないんです。リフォーム箇所だけでなく、その周りの箇所のことも考えて丁寧に施工をするという点も一つの特徴だと思っています。
――そこはタケワキ住宅建設ならではの強みと言えますね。
リフォームローンについて
――リフォームにあたって、ローンを利用される方は多くいらっしゃるのですか?
リフォームでローンを組まれる方は弊社ではほとんどいらっしゃいません。というのも、自己資金の中から使える範囲をご自身で決めて、その範囲内でリフォームをされる方が大半だからです。退職金を使ったり、今までコツコツ貯められた資金を使ったりと、ローンを組まずに自己資金の中でできるところまでをやるというケースが多いです。
逆にローンを使うのがどういうケースかというと、中古住宅やマンションの購入と同時にリフォームをする場合で、購入費用にリフォーム費用をプラスした金額に対してローンを組むというものです。数千万円単位の大きな金額になることもあるので、さすがに自己資金では難しいということでローンを組まれる方はいらっしゃいますね。
もちろんリフォームローンが一般的でないわけではありませんが、やはりどちらかというと「家を買ってリフォームをする」場合にローンを組むケースが多いと思います。
――今後さらにリフォームに関するローン制度が充実した場合には、リフォームを検討される方がより増えることもあるのでしょうか。
みなさん、家を建てた際のローンを払い終わった上で、またローンを組むというのには抵抗があるのかなと思います。先ほどもお話ししたように、年配の方で住宅ローンを払い終えた方であれば、「ローンは組みたくないけど自己資金があるからリフォームをする」という考えになると思われます。
では予算が少ない方はどうしたらいいのかという場合に、役立つ可能性があるのが「リバースモーゲージ制度」です。これは例えばご自身の住宅や土地などを査定して、先々でその住宅や土地が不要となった際に売りに出すことを見越して、その査定額を先に借りておくというものになります。ご自宅に住み続けながら、その資産価値を担保にして融資が受けられるということですね。
ただこの制度はあまり知られていないのが実情です。年齢制限もありますが、対象となる年齢に達していない方でも、長期医療住宅の認定を取ることによってそれを使うこともできます。
――そういった制度というのは、施工業者側から勧めることもあるのでしょうか?
そもそも、そういったご相談があまり来ないんですね。「リフォームをしなくてはいけない理由があるけど、どうしても自己資金が足りない」という方であれば、こちらからそのお話を持ちかけることもできるかと思います。
リフォームの必要性がある場合というのは、例えば「突然の事故で車イスの生活になってしまい、バリアフリー工事をやらざるを得なくなった」といったケースですね。そういった方からのご相談は実際にこれまでにもありましたが、その場合には提案できることがあります。
リフォームに関する補助金について
――リフォームに際しては補助金もあるようですね。
そうですね。例えば耐震リフォームについては使える補助金があります。
耐震リフォームの場合、まず最初に耐震診断を行います。住宅の耐震強度に対して点数がつくものなのですが、それを「1.0」という一つの基準値まで高めるために、どういった補強が必要かという耐震設計、そしてその設計に沿って行う耐震補強工事が施されます。それぞれの工程に対しての補助金が、だいたい毎年各市町村ごとに何軒分という数が設定されています。
ただその枠も決して多くはなく、また先着順なので、毎年の年度始めの時期で枠が全てなくなってしまう場合もあります。タイミングが合わなければ、利用するのがなかなか難しいのが現状です。
また「長期医療住宅リフォーム」というものにも補助金があります。これは例えば「既存の家を長期医療住宅の認定レベルまでリフォームをすると200万円もらえる」というものです。ただそのためには1000万円以上かかるような規模の大きな工事になります。
そのほかには、「住宅ポイント」というものもあります。例えば窓にインナーサッシをつけると0.7万ポイントとか、手すり型のトイレにすれば0.5万ポイントとか。そういった形でポイントを積み上げていって、5万ポイント以上貯まると補助金として使うことができるというものです。ただしこれもいつでも使えるものではなく、応募制なのでタイミング次第になってしまう部分があるんですね。今年も4月から募集が開始されるかと思います。
――そういった補助金を狙ってリフォームをするケースもあるのでしょうか?
お話ししてきたとおり、リフォームのタイミングや内容など、現状ある補助金にはけっこう制約があります。そのため補助金ありきでリフォームを行おうとしてしまうと、時期を逃したり、基準に達するために本来必要な分以上にお金がかかったりといったことも起きてきます。やはり補助金を狙ってのリフォームは都合がつきづらいかと思います。
ただもちろん、タイミングと内容が合っていれば「補助金を使いましょう」というお話はしています。
――ちなみに補助金の内容や時期というのは毎年変わるものなのでしょうか?
耐震リフォームの補助金については基本的にはだいたい一緒なのですが、住宅ポイントはいつ募集が出るかというのが決まっていません。住宅業界の景気向上を狙った施策として出されるもので、現在のコロナ禍の状況もそうですね。あとは近年で言えば省エネ関連の注目も高まっているので、既存の住宅の省エネ性能を上げるために補助金が出されていたりもします。
――おっしゃるとおり、「省エネ」についてはトレンドでもあるようですね。
そうですね。実際に今年の4月から、新築に関しては省エネ基準を満たしているかどうかの説明の義務化が始まります。弊社で施工している新築住宅についてはもともとすべてクリアされているので、「このように省エネ基準がクリアされている設計でいきますね」とご説明してご契約いただいています。
もちろん既存の住宅についても、省エネ性能を上げていくことが今後重要になってくると思っています。この前も総理大臣が「2050年までにカーボンゼロを目指します」という宣言を発しましたよね。これはつまり「温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」ということですが、これまでの住宅、家庭では、灯油ストーブやエアコンの使用などが当たり前で、全体のCO2排出量を考えると相当な量になっていました。それをゼロに持っていくためには、住宅の断熱性能を上げることが一番の近道なので、今そのためのさまざまな施策が打たれているところです。
エネルギー面でも断熱は重要ですが、健康面を考慮しても断熱の必要性はあります。寒い家の中に住んでいると、例えば洗面所やトイレなど、地肌を露出する場所では一気に寒くなって血管が縮こまってしまいます。その状態でお風呂に入ることによって、血圧が高い方や心臓に疾患を持っている方などが倒れてしまう可能性があるんですね。「ヒートショック」と言われていますが、それが原因で毎年1万数千人ほども亡くなっているという統計もあります。これは実は自動車事故で亡くなる方よりもはるかに多いです。
――そういった2次的なリスクについても、まだあまり知られていないですよね。本来断熱リフォームをすべき人に届いていない可能性も……
一般の方々にはまだまだ知られていないですよね。寒いのは我慢してしまえばいいわけですから、なかなかすぐにお金をかけて対処をする人は多くありません。しかし身体にとって良くないことはたしかに証明されているんですね。
――周知していかなくてはいけないところですね。
「聴く」ことで、費用面でも性能面でもより良いご提案を
――リフォームのご相談に対して、費用面のご提案などで大切にしていることはございますか?
先ほどお話ししたように、リフォームの目的に依ります。目的とするリフォームを実現するためには単純に安くすればいいわけではないので、ご予算の中で何ができるかを考えるために、お客様のご要望をどこまで聞き出せるかがポイントになります。
どのお客様についてもポイントは同じで、「どうしたいのか」をまず伺って、「どこまでできるのか」を提案することなんです。例えば1千万円かかる工事を100万円でできるとは言えないので。ご依頼主のみなさまもその感覚はわかっておられますので、認識に大きなずれはないかと思います。そこから細かい要件をどう調整するのかが重要で、そこはこちらの提案力にかかっていると思います。
――ヒアリングの中で潜在的なニーズを引き出すということもあるのでしょうか。
そうですね。単純に「これを取り替えたい」だけではなく、その先にあるニーズをどこまで引き出せるかがポイントです。ただ「玄関のドアを取り替えたい」というご相談でも、なぜ玄関のドアを取り替えたいのか、見栄えなのか、寒いのか、あるいは壊れてしまったのか、はたまた全く別の理由があるのか……。
隠れた潜在的なニーズをどこまで引き出せるかによって、お客様の満足度は変わってきます。思っていた以上の使い勝手や性能をご提案することができれば、お客様にとってもすごく良いことですよね。
――ただ安くするだけでなく、お客様により良いリフォームを提供することが大切なんですね。