前回に続いて代表インタビューという形で、今回は水回りのリフォームについてのお話をお届けいたします。
水まわりの中でも最も件数の多い、バスルームのリフォーム
――リフォームの中でも、水まわりのリフォームの件数は多いですか?
一番多いですね。一般的な外装の吹き付け直しといったリフォームと比べても、件数的には多いかもしれません。
――水まわりのリフォームの中でも、特に多い箇所などはありますか?
リフォームのご依頼が一番多いのは、バスルームですね。
お風呂って、昔はタイルで造り付けのものが主流だったんですよ。そのため、今から30年以上前に建てられた家のお風呂はタイル貼りであること多いです。
タイル貼りのお風呂って、とても寒いんですよね。さらにタイルが割れてきたりだとか、水栓が壊れてきたりといったことも起きてきます。そういった何かのきっかけでバスルームをリフォームしようとご決断される方が多いです。
――その場合、もともと造りの古い住宅に新しい浴槽を設置するのは可能なのですか?
そこは問題なく、いかようにでも設置することができます。そしてその時に大事なのが、単純に浴槽を取り替えるだけではなく、浴槽まわりの断熱工事も行うことです。
窓枠のサッシも含めて、床、壁、天井までぐるっと包み込むように断熱を施すんですね。そうすることで、お風呂の中が劇的に温かくなります。
ただその場合、洗面所も一緒に断熱を施さなければ、体感できる効果が半減しちゃいますよね。洗面所がすごく寒いと、どうしてもお風呂から上がったときに寒さを感じてしまうので。そのため可能な限りは、洗面所も一緒にリフォームしたいところではあります。
――実際に、バスルームと洗面所のセットでのリフォームは多いですか?
実は多くはないんですよね。バスルームのみのリフォームのケースが多いです。洗面所も一緒に行うとなると、プラスで30万円ほどかかるということもあるかと思います。
我々の役割としては、本当のニーズにどこまで気づくことができるかですね。実情を見て、洗面所もセットで行なった方がよいのであればご提案します。
――バスルームまわりが温かくなると、感動されるお客様も多いでしょうね。
やっぱりみなさますごく喜ばれますね。
――やはりバスルームの悩みというと、「寒い」というものが多いですか?
「寒い」というお悩みを抱えている方は多いです。あとは「使い勝手が悪い」とか、「段差があって危ない」とか。実際に「滑って転んで怪我しちゃった」という方もいますしね。
リフォームを思い立つにあたっては、寒さ以外にもさまざまな要因があるかと思います。例えばお年寄りの方が入るのであれば、寒い、危ない、使い勝手が悪いといった不便さは大きな悩みになってくるでしょう。
これが例えばキッチンであれば、見た目が悪くてもよほど高さが合わないといったことがない限りは使えるじゃないですか。暑い、寒いとかは基本的に関係ありませんしね。ところがバスルームの場合は健康の面でも気分の面でも影響してくるんですよね。つまるところ、やはりバスルームは綺麗にしておくべきだと思いますよ。
――たしかにバスルームに不満があると日常のストレスも増えそうですよね。
トイレのリフォームについて
――水まわりでいうと、トイレのリフォームのご依頼などはいかがですか?
トイレのリフォームについては、壊れちゃったとか、なんらかのリフォームのついでにといった理由でご依頼いただく方が多いです。バスルームのリフォームに際して、「この機会だから」ということで一緒にやることもありますね。
とはいえトイレも、年数が経ってしまっている場合にはリフォームをおすすめします。20年前のトイレと今のトイレでは、使う水の量がもう3分の1くらいになっているので。
――そんなに違うのですね。だとすると、お金がかかってもリフォームをした方が結果的にお得ということもありそうですね。
そうですね。トイレの水道代のほかにも、例えば先ほどお話しした断熱リフォームの場合、ストーブに使っていた灯油代やエアコンの電気代などが削減できるので、その先10年、20年のランニングコストを計算していくと、圧倒的にお得になるはずです。
――そういった点でもおすすめできるんですね。
ただそういったメリットって、なかなか目に見えないんですよね。温度もそうですが、目に見えて劇的に変わるということがないので、効果を実感しづらいんです。モノを新しくすれば、見た目が変わるから「変わったな」という実感があるのですが……。目に見えないところはリフォームする前も後もなかなか実感できない。
だから本当は違いを計算して、こちらから提案してあげたいという思いがあります。例えば「いま電気代が月4万円くらいかかっているところが、断熱リフォームをすることで月1万5千円くらいになりますよ」といった形でですね。きっと数年も経てばコストは逆転しますし、ましてや健康面でのリスクが減るのであれば、すぐにでも改善した方がいいですよね。ところが、なかなかお話しする機会がないため、自ら必要に迫られてご依頼に来られる方がほとんどです。できることなら、そういった事実を広く知っておいていただきたいですね。
――実感がなければ、なかなか必要性にも気付きづらいですよね。
実際に住んでみると、やっぱり新築と築年数の経った家では体感として全然違いますよね。
私個人の話でも、築年数の浅い自宅と、実家である事務所では温度が全然違います。毎日行き来していると、その差がいやというほどわかるんです。実家の方は「なんでこんなに違うんだろう」というくらい芯から冷えてますよ。
その違いを身を以て体験してわかっているので、このように違いについてお話しできるんですね。
――目安として、だいたい築何年くらいのお宅だとリフォームが必要になってくるのでしょうか。
だいたい20〜30年くらいかと思います。それぐらい経過すると、部分的にさまざまな箇所が壊れてきたり、不具合が出てきたりしますので。築10年ほどでリフォームを考える方は非常に少ないですが、築20年を超えてきたら、「いつ頃やろうかな」と考え始めてもいい一つの目安だと思います。
ただ最近の家は性能が良くなってきているので、リフォームの目安年数ももう少し伸びてきているかもしれませんね。ですので20〜30年というのは、今から遡って考えた場合です。
キッチンのリフォームについて
――お風呂とトイレは比較的リフォーム件数も多いようですが、キッチンのリフォームについてはどうでしょうか?
キッチンは、バスルームやトイレに比べるとリフォーム件数としては少ないかもしれません。基本的に、壊れるなどしない限りはみなさん長く使われるようですね。
――キッチンだと、例えば「もっとおしゃれにしたい」などデザイン的な部分でのリフォームもありそうですね。
どちらかというと、「もっと掃除が楽なものにしたい」とか、「高さが合わなくなってきている」とか、「収納が少ない」といった、使い勝手が良くないから変えたいというご依頼の方が圧倒的に多いと思います。
――キッチンのリフォームだと、そんなに大掛かりにもならないのでしょうか?
単体で行うのと、その周りまで行うのとで変わってきますね。
例えば食器棚や壁、床まで変えるというケースもよくあります。後ろの食器棚を造り付けにするとか、場合によってはキッチンを別の場所に移動してしまう場合もありますね。
――キッチンの移動とは……かなり大掛かりですね。それにはどういった意図があるのですか?
もともと建売住宅を買われたお客様なのですが、室内が暗かった。築年数は10年くらいと浅いのですが、ずっと暗かったとのことで、リフォームによってキッチンをもっと明るくしたいとのご依頼でした。
製品として新しいキッチンが入っていて、使い勝手も全く問題なかったため、まだまだ全然使える状態だったのですが、それを撤去して造り付けのキッチンに変えました。かなり思い切ったリフォームではありましたが、結果的にお客様の最大の悩みを解消することができたと思います。
そのように、使い勝手の悪さや困っていることに対してリフォームで解決したいというご依頼が弊社では圧倒的に多いですね。
――そのようなご依頼に対しても、ヒアリングをしてさらに深くニーズを汲んでいくと。
そうですね。水まわりのリフォームの場合、だいたいみなさんご相談にいらっしゃる際には、「こうしたい」というご要望を決めて来られることが多いです。それに対して、プラスアルファのニーズをどう引き出すかが大切ですね。
印象的な事例や実例のお話
――水まわりのリフォームで、印象的な事例などはございますか?
昨年の話ですが、とても大規模なリフォームを施した事例があります。かなり大きなお宅だったのですが、部屋の内装をけっこう大胆に変えまして。リビングダイニングや寝室はじめ、洋室も4,5部屋くらい大掛かりな変更をしました。キッチンもオールステンレスのものに変えましたね。
お客様は特にキッチンへのこだわりが強く、「こういうキッチンが欲しい」というイメージがありました。造り付けで、ガスコンロやガスオーブンまで、ご要望に応じて大々的に工事をしました。
想定されているご予算があった上で、ご要望が多岐にわたっていたため、それを予算の範囲内で「こんなことができますよ」というご提案をしながら進めていきましたね。
↓こちらの事例をご紹介した記事
こだわりのキッチンと自然素材をふんだんに使った開放的な空間リフォーム
――予算と折り合いをつけながら、お客様のイメージにあったリフォームを叶えたのですね。
もちろん打ち合わせを重ねて、細かくやりとりをして。工事中もいろいろご相談をしながら進めていきました。
――ちなみに、水まわりというと普段から毎日使うものですが、工事中の使えない期間は住人の方はどのように対処しているのですか?
最も困るのがお風呂ですよね。例えばバスルームのリフォームに1週間かかるとして、それくらいの期間であれば引っ越していただく必要はないので、基本的には近くの銭湯でお願いしています。そのため、工事の時期としてはどちらかというと冬場の方が適しているんですよね。冬であれば、仮に入浴が1日おきでもまだ我慢できるじゃないですか。しかし夏だとそうはいきません。そのような事情もあり、お風呂については工事期間中の対処は難しいところもありますね。
キッチンであれば、1週間の間であれば外食なりコンビニ弁当なりで乗り切ることも可能ですので、さほど大きな支障をきたしません。またトイレの場合はほとんどの工事が1日で終わるので、こちらも支障は少ないですね。他の工事を伴うために期間が長くなってしまう場合は、仮設トイレを入れることもありますが、大抵はいったん引っ越していただくほどの大規模なリフォームになるケースが多いです。
――お引越しをともなうリフォームというのは、具体的にどれくらいの期間なのでしょうか?
1ヶ月以上かかるようなリフォームでは、お引越しをお願いしています。なかには2〜3ヶ月かかるリフォームもありますね。
実は今ちょうど行なっているのがまたちょっと特殊なリフォームで、大規模ながらお引越しはせず、住みながらなんとかエリア分けをして工事を進めています。今週はこのエリアからこのエリアまで、こっちのエリアに荷物移して今度はこのエリアからやる、などといった形ですね。今回は大きなお宅で、お風呂やキッチンが別のところにもあるためなんとかなるのですが……。
ただやはり長期の場合、基本はお引越しですね。住みながらのリフォームって大変ストレスをともなうんですよ。毎日知らない人が入ってきて、いろいろ動き回るので、もう落ち着いて生活ができない状態になってしまうんですね。1週間ほどであればともかく、1ヶ月以上になってしまうと精神的にも参ってしまう可能性がありますので。「住みながらリフォームできますか?」とご質問いただくこともありますが、長期の場合は基本的にはご遠慮いただいています。
実際、このあいだ一軒家をリフォームした方にも工事中はお引っ越しいただきました。室内すべて入れ替えという大規模工事で、かなり工程を急ぎましたが、それでも2ヶ月ほどはかかりましたので。
まとめ〜水まわりのリフォームをご検討の方へ〜
――最後に、水まわりのリフォームを考えていらっしゃる方に伝えたいことはございますか?
何か困っているからご依頼いただくと思いますし、お話しいただくお悩みというのは、もちろんリフォームをご検討いただいた一番の理由なはずなんですね。それをまずしっかり受け止めた上で、我々からもプラスαの提案ができますよということをぜひ知っていただきたいです。さまざまなお話をお聞きしながら、ご依頼主さまご本人だけでは気づかないことにも気づき、潜在的なニーズを掘り出す。ご相談いただければ、プロの目線から最適なご提案をさせていただけるはずです。
専門業者でも、単純に製品を取り替えているだけの業者だとそういった提案はできないと思うので。単純に値段の安さだけを売りにしているところもあるかと思いますが、金額だけではない満足度というものもあるかと思います。いろんな施工を行っているからできる提案っていうのはあるので、まずはご相談ください。